安保容認社党の談ず

角材に対せし安保闘争よ今日容認を社党の語る
闘争に流せし血潮の時移り安保容認社党の談ず
流したる血潮を無意味とならしめて時移りゆく安保のことも
流したる血潮は移りゆく時に罪とふ言葉を多く貼られる
安保闘争忘れていしは容認に移りていしか社党の談ず
動きゆく世界は世界の論理持ち流せし徒労の血潮うるはし
角材に安保闘争なしたりし人等を容認談聞きゐん
安保闘争なしたる人等容認の談話に如何なる自己評価をもつ

争ひて吠え合ふ犬の声聞えつながる犬は立ち上りたり
降り来よと語りてやりし月面の兎に幼こえをかけたり
もの乞ひの幸やんは如何なる死に方をなせしか不意に思ひの来る
如何ならん死に態もつか年々に問ひの大きく育ちて来る
乾きたるタオルに汗を拭ひおへ緑新たに風走りゆく
本能寺に向かへと光秀采を振る決断は常に偶然に似て
軒庇闇をなしゐるひとところ落つる雫はそこに光れり
のみの先のミケルアンぜロの目に沁みて滴り落つる真夏の汗は
雨の止み出で来し原に水ひびき犬は歩める足を速めぬ
溝に水溢れて流れ早苗運ぶエンヂンの音空にひびかふ
口惜しく過去ありたれば頬杖をつきたるままによる更けゐたり

2015年1月10日