「冬眠」と「冬季うつ病」

寒い時期には「冬眠」する動物が多くいます。ウイキペディアによると「冬眠」は狭義には「哺乳類や鳥類の一部が活動を停止して体温を低下させ食料の少ない冬季間を過ごす生態」のことで、広義には「変温性の魚類、両生類、爬虫類、昆虫などの節足動物や陸生貝などの無脊椎動物が冬季に極めて不活発な状態で過ごす冬越し」のことも指します。生体変化としては表のようなものが挙げられますが、極端な例ではある種の亀などでは冬季は完全に身体が凍結されて心拍と呼吸が停止し、春になると復温されて心臓が再拍動するものもいるようです。人間では遭難などで極度の低体温に陥るも1か月近く殆どの臓器の機能停止が起こるがほぼ後遺症なく回復したという事例が幾つか報告されています。特に小児の回復力は強く、これを利用したのが新生児低体温療法です。新生児では周産期に受けたストレスにより容易に重度の精神運動発達障害が後に残ることがありますが、このダメージを最小限に抑え障害を回避する治療がNICU(新生児集中治療室)で行われるようになり、2010年国際蘇生法連絡協議会で標準治療として推奨されました。さらに心臓手術に際して心臓が拍動している状態では手術が困難ですので、心筋への血流を遮断、心筋を冷却し冠動脈から心筋保護液を入れて代謝を押さえ心拍動を停止させることにより、数時間の開診手術などが可能となり術後の障害も最小限に抑えられます。この手技は心臓血管外科の黎明期から研究・開発され、今日の一般治療につながっています。

 

冬眠(無料イラストより)

冬眠中の生体変化

・体温の低下

・活動の低下によるエネルギー消費量の低下

・摂食の中止

・排尿、排便の停止

・心拍数の低下(場合により心停止)

・呼吸数の低下(場合により無呼吸)

最近マスコミなどで「冬季うつ病」という言葉を頻繁に目や耳にします。これは寒い時期に「こたつや布団から出たくない」「寒い時に買い物に行くのが億劫だ」などの寒さへの恐怖や躊躇以外に様々な症状が現れます。「気分が落ち込む。物事を楽しめず気力が減退する。イライラする」など、「一般的なうつ病」と同じ症状が見られますが、「冬季うつ病」では「いくら寝ても寝足りない(過眠。布団から出たくないに関係?)「過食(脂肪を貯め込む)」「体重増加」が特徴とされ、これらは人間における「冬眠」現象の名残だとされています。私も山陰に来てから体重が増えましたが、これは冬季うつ病か単に食材や日本酒が美味しいせいだけかは分かりません。心当たりのある方は、お互い気を付けましょう。

一般のうつ病と冬季うつ病の違い

 

 

一般のうつ病

冬季うつ病

睡眠

 

低下

増加

食欲

 

低下

増加

体重

 

低下

増加

2023年の大雪

今年の1月はメチャ寒かったですが、皆さまお変わりありませんか。

1月下旬の山陰地方は大雪で、国道9号線が20kmにわたり不通となり1000台以上の車が立ち往生となった10年前の悪夢を思い出させるような記録的豪雪だったようです。当時米子市で89cmの積雪があり、あるタクシーの運転手さんは「夜中車内に閉じ込められたが、命からがら脱出した」と言っておられました。今年の大雪では私は車を米子高島屋の立体駐車場に入れたきり出すことが出来ず結局8日間止めっぱなしにしましたが、鳥取県東部の智頭町では1000人足らずの方々が何日間か孤立した状態になったということです。

大雪のため駐車場から脱出出来ない車たち

同時期に全国各地でも雪災害が続き、身近な例では新名神高速の三重県で最大66kmの立ち往生が発生したようですが「立ち往生は一時的なもの」との判断で自衛隊や県に応援が要請されなかったことが大渋滞の1因だったようです。また2月に東京出張に行った時には最大10㎝くらいの雪のため都市機能は大パニックになっておりました。ホテルに帰るとテレビではテロップで注意喚起がなされており「歩くときは大股にならないようペンギンのようによちよち歩きをするように!」「倒れる時は尻もちをつくようにお尻からこけるように心がけましょう!!」など、箸の上げ下げを指示するような有意義な指導がなされていました。