色紙

【第12回全国短歌フォーラム作品】

竹とんぼ
過去へ過去へと飛んでゆき
われさきに小さきてのひらめきあり

色紙、短冊に自筆で詠まれた短歌を集めてみました

色紙作品集

作品/色紙 10

色紙

 

ひとまわり

大きくなりて

水ぬるむ

渚に魚の

せびれをふるふ

利春

 

色紙

 

エンジンの

音過ぎてゆく

夜の空

さびしき聖者の

言葉をさがす

利春

 

色紙

 

秋原の

葉しょうじょうと

枯れてゆき

澄める地来に

ひとみを移す

利春

 

色紙

わたる日に

山の梢の

けぶらひて

萌す若芽の

生きもちたり

としはる

 

 

色紙

 

外燈の

あかりに飛びて

死にゆきし

虫のまなこを

ゴッホにつなぐ

利春

作品/色紙 9

色紙

 

中心に

廻る濁紋の

美しく

でんでん虫は

木の幹這ひぬ

としはる

 

 

色紙

 

としはる

空の青

かくふかくして

ひる飯を

食べゐるひまに

雨上りたり

 

 

色紙

 

一日を

いもほり自然

体験の

人等は意を

讃へかへりぬ

としはる

 

色紙

 

くれなひの

うすき色付

しげりゐる

葉を押のける

力に咲きぬ

としはる

 

色紙

 

ほつほつと

つくしの土を

被き出で

背の温かき

あゆみなりけり

利春

 

 

作品/色紙 8

色紙

 

つかみては

開きて砂を

落しゆく

その単純を

くりかへし居り

としはる

 

色紙

 

曼珠沙華

一むら咲きて

くれなひの

花に澄みたる

秋の聖のあり

利春

 

色紙

 

ほくほくと

われは食べをり

焼栗の

はぜし一夏の

日差しの量を

としはる

 

色紙

 

寝返りて

顔にのせたる

をさな脚

胸やはらかく

抱へて移す

利春

 

色紙

 

野焼せし

跡の堤の

平らにて

つくし生ふべき

光りわたりぬ

 

作品/色紙 7

色紙

 

しもとけて

葉のもみじの

色まさり

原の展ぐる

冬の絢爛

としはる

 

色紙

 

移りつつ

図りゐし???

一ところ

置く軸心に

図り澄みゆく

利春

 

色紙

 

はつなつの

蕗のかほりは

母の声

吾に食べよの

言葉すまはす

としはる

 

色紙

 

流れ来し

水に登れる

魚のあり

水の動けば

おのずからにて

としはる

 

色紙

 

夕茜

うつろひ易く

暮れてゆき

ひたひたと寄る

葉かげの闇

としはる

作品/色紙 6

色紙

 

目を上げて

バス停迄の

はるかなり

一足づつの

あゆみを運ぶ

利春

 

色紙

 

てのひらに

うけるものとして

雲のふり

幼ら居れば

歓声のあり

としはる

 

色紙

 

台風の

過ぎたる空の

すみとほり

今し峯より

月さしのぼる

利春

 

色紙

 

樫の木に

色移りゆく

雨蛙

手の??の

もの音のなく

利春

 

色紙

 

枯草の

?に赤き

葉のありて

斜となりし

光が透す

利春

作品/色紙 5

色紙

 

出会ひしは

とふとかりしと

過ぎし日の

かくして来る

この頃にして

としはる

 

 

色紙
冷えをもつ

夕べの風に

蝉の声

止みて一人の
吾のありたり
としはる

 

 

 

色紙

照りつづき

枯れて来りし

コスモスの

二日降りたる

青葉を掲ぐ

利春

 

 

色紙

 

夕映えに

水けり翔ちし

二羽の鳩

亘る茜に

かくれゆきたり

 

 

色紙

 

幼子は

窓より覗き

手を振れり

瞳合ひたる

おのづからにて

としはる

 

作品/色紙 4

色紙

 

春となる

光りの呼べる

はらの声

土筆は土を

被きもたぐる

利春

 

色紙

 

夕陽は

犬と吾とを

染めてをり

無為に過ぎたる

ひと日の歩み

利春

 

 

色紙

 

億年の

光りがつなぐ

星にをり

をのが眼の

来時食ひつく

利春

 

色紙

 

雲うごく

宙に青き

空覗き

はるかなものに

瞳したしき

 

 

色紙

 

夜の空を

いろどり開き

ひかりつつ

ちりゆく終りを

花火もちたり

 

作品/色紙 3

色紙

 

平かに

山を写せる

水となり

冬は乱せる

魚かげを忍ず
利春

 

 

色紙

 

あじさいの

咲きたる青に

すみとふり

道は殖もる

寺門に至る

としはる

 

 

色紙

神前の

木に紙?を

結びゐて

祈りに明日を

もちゐるらしき

利春

 

 

色紙

 

満天の

星の光りの

ふりそそぎ

雌呼ぶ虫の

声わたりゆく

 

 

色紙

 

すきとほる

山の日差しに

なるもみじ

男かざして

下りて来にけり

利春

 

 

作品/色紙 2

色紙

 

古き家具

捨てんと積みし

自動車の

傍へに母の

沈黙のあり

利春

 

 

色紙

 

一望に

青く草木の

地を覆ふ

日本とおもひ

坂下りゆく

としはる

 

 

色紙

 

神前の

木に我らの

むすばれて

知らざる明日を

誰も持ちゐる

利春

 

 

色紙

 

りんりんと

満ちて渡れる

虫の声

届ける涯の

黒く眺む

としはる

 

 

色紙

 

背に溢む

光りの差して

冬眠の

虫潜みゐる

土に沁み入る

作品/色紙 1

色紙1

 

二千年
一月八日
まっさらの
八十一翁
胸張り歩む
利 春

 

 

 

 

 

色紙2

 

なおちゃんに

見られたからね

亀さんがはずかしいって」

うらうらと照る

利春

 

 

 

 

色紙3

 

明日のある

ことの不要に

老ひゆくと

子童の横を

通りすぎたり

としはる

 

色紙

 

何日よりか

憂ひとなりて

未来あり

つやの失せたる

手の指のばす

としはる

 

色紙

 

熱き血の

めぐりし記憶

戦は

おろかなりしと

人の言ふとも

 

 

色紙

 

仰向けに

ベンチにい寝て

下りくる

大きく深き

青空ありぬ

としはる

 

色紙

 

蛙らは

土に潜みて

刈株の

曝れしに白く

冬の日の照る

利春

 

色紙

 

上履が

なくなり靴の

片方が

無くなり仔犬

育ち来りぬ