医師とピアニストの二刀流

 名古屋大学医学部を卒業し現在研修医として勤務する沢田蒼梧医師は前回のショパンコンクールで反田恭平氏、小林愛美さんたちとともに入賞しています。医師とプロのピアニストの「二刀流」を目指すとのことで、頼もしい限りです。しかも小児期に喘息に悩まされ、将来は小児科医になりたいと語っています。

(2024.6.29)

ショパンコンクール

やりましたね!

日本の27才と26才の2人。

そうです! 今年のショパン国際ピアノコンクール(ショパコン、図1))で2位の反田恭平さんと4位の小林愛実さん。

ショパン国際ピアノコンクール

何かの本で読んだのですがショパコンの審査は初期の頃は結構いい加減で、審査員の合計加点が同点の場合コインを投げて優勝者を決めたこともあったようです。ところが、1980年の第10回ショパコンで「事件」が起きました。審査員であったマルタ・アルゲリッチがユーゴスラビアのイーヴォ・ポゴレリッチが本選に選ばれなかったことに猛烈抗議して審査員を辞退した「ポゴレリッチ事件」です。

ピアノコンクールではチャイコフスキー国際コンクール、エリーザベト王妃国際音楽コンクールと並ぶ、最も権威のあるショパコンですが、あまり知られていないことだけにしておきます。

 「だって彼は天才よ」と言い残して途中でアルゼンチンに帰国したことだけが知られていますが「魂の無い機械がはじき出した点数だけで合否を決めてしまうのは遺憾で審査席に座ったことを恥じる」と述べ、当時の審査体制を批判しています。その後優勝者や第2位が無かったコンクールがしばらく続きましたがこのことが影響したかどうかは分かりません。しかしいずれにしても現在の厳正な審査による世界的なコンクールに2人の日本の若者が入賞したことは画期的なことでしょう。私が小・中学生くらいの時には近所の子供たちがこぞってピアノを習っており「これだけピアノ塾に沢山の人が行っているのに何故日本には世界的なピアニストやコンクール入賞者はいないんやろう」と斜交いに構えて見ていましたが、彼らやその親たちは先見の明があったのでしょうね。彼らをちょっと馬鹿にしていた私は今さらながら後悔すること限りなしです。(2021.12)

最近印象の強かった演奏

辻井伸行というピアニストをご存知でしょうか。生まれつきの全視覚障害を持った彼は、おもちゃのピアノを与えられた幼児期から、聴覚だけで音楽を理解かつ演奏し、昨年若干20才の若さで世界的なクライバーンコンクールで優勝をしたのです。スコアを眼で読めないだけでなく、指揮者や他の演奏家とのアンサンブルも聴覚のみで完璧に行ったことは驚異としか言いようがありません。

これに関し思うことがあります。200年に小腸不全の患児に小腸移植を行いましたが、患児は生後より16年間経口摂取がほとんどできなかったため味覚が十分発達していなく、甘い、辛い、酸っぱい などの感覚を獲得するまで約半年かかり、グラフトは十分機能していたのに拘わらず、経口摂取を進めるのに難渋しました。小児期におけるこのような機能の一部が欠損した場合に、その獲得・補充にはかなりの時間と労力を要しますが、反面これまでにそれを補うためにつちかった他の機能は甚大なる力を発揮することとなり、これを伸ばすためには親や医療従事者を含め周囲の人の援助が重要な役割を果たすと思われます。