正岡昭先生のこと

正岡昭先生のこと   私の母校である大阪大学医学部の先輩、正岡昭先生のことを紹介します。阪大の学生オーケストラの指揮者をしておられ、昭和29年卒で私が学生の頃は第一外科助教授(呼吸器グループライター)をされていました。その頃、正岡先生に連れられて「Poco a Poco」というクラブでオペラの稽古に行ったりしました。 昼からビールを飲んで練習するのですが、「蝶々夫人」の静かな場面で、ゲップをこらえきれないクラリネット奏者が、ゲップとともに急にフォルテを出して、台無しになったことがありました。その後名古屋市立大学の教授で赴任されたのですが、定年退官後医学書はすべて処分し医学者としての生活に区切りをつけ、大阪に戻り音楽大学で聴講生となり、残る人生を音楽家として過ごすことを決意されました。 その結果、多数のオーケストラ曲とともに、3つのオペラ「信玄」「「祖国」「世阿弥」を作曲され、自らの指揮で初演を行われました。残念ながら2014年11月に亡くなられ、追悼会では先生の作曲されたオペラがDVDで流され溌剌と指揮をされていた往年の姿を偲ぶ会になりました。 医療センター消化器内科の村上敬子先生は、「音楽は、私の中では息抜きや気分転換ではなく挑戦です。 ・・・仕事もピアノも時々の初心を忘れず羊が草を食むが如く焦らず諦めずに回り道の人生を歩んでいこうと思っています」と述べておられます。 私は正岡先生のように医学と完全に切り離すことも村上先生のように実学と純粋な芸術を融合するような高度なことはできませんが、私なりに新しいもの、夢に常にチャレンジする精神を忘れないようにしたいです。そして質の高い芸術に接することによって、良いストレスを受け、Physical、Mental、SocialにWell-beingを保ち、残る人生を豊かにしていきたいです。 学生時代に神戸フロイデというアマチュアの合唱団に入って、外山雄三指揮大阪フィルと年末の「第九」でバスを歌ったことがあるので、いつかオペラアリアの1節でも歌えるようになれればと思います。これからもお酒の飲めるところで、クラッシック音楽愛好家が気軽に集まれるように輪を広げていきたいと思います。(thasegawa_toshimichi@fukuyama-hosp.go.jp) 「芸術は長し。されど人生は短し。」