多久潤一朗氏のオリジナル奏法

皆さんは多久潤一朗氏というフルート奏者をご存じでしょうか。東京芸大を卒業、日本クラシックコンクールフルート部門で優勝され、映画「のだめカンタービレ」で首席フルート担当されています。最近ではフルートトリオ「マグナムトリオ」のリーダーとして国内外で活躍されクラシック音楽は勿論テレビドラマや映画の音楽、さらにアニメや「スーパーマリオ」などのゲーム音楽など幅広いジャンルの音楽を手掛けておられます。中でも驚くべきは自由な発想で多くのオリジナル奏法を編み出しており、管のある物なら何でも楽器にできる、例えば、横笛であるフルートの先の部分から縦笛にして演奏、チクワに横穴を開けて演奏しています。

フルートとちくわ:両端に穴が開いているので吹けば音が出る

我々の行っている科学研究は何度繰り返しても同じ結果が得られる、再現性に価値を置くものですが、音楽はそれとは反対です。1回しか起こらないところに「オーラ」があり価値があり、芸術は複製されるとオーラが失われるものです(ワルター・ベンジャミン)。1回限りの演奏は即興Improvisationとも言いますが、Wikipediaによると「即興:型にとらわれずに自由に思うままに作り上げる、作り上げていく動きや演奏、またその手法のこと」とあります。多久氏の演奏形式はまさに「即興」といえましょう。

多久氏は幼少の時、1本のたて笛を与えられて、救急車、チャイムの音を笛の音で再現していたそうです。その時いわゆる「真面目(教科書的な考えが支配的な)」な教育ママのお母さんから、酷く怒られて様ですが、リベラルなお父さんには「何故もっとやらないのだ」と逆に諭されたようです。さらにこのお母さんは「私が恥ずかしい思いをしているのよ」というジコチュウ発言をされています。この教育ママに完全屈服していたら今のようにフルートの概念と常識を破るような輝かしい活躍をしていなかっただろうと思われます(ただし素晴らしく育てられたお母さまの悪口を言うつもりは全く無いのでご理解を!)。

同じく音楽家で作曲家の池辺普一郎氏は幼少期身体が弱く、小児科医から「この子は20才まで生きることが出来ないでしょう」と言われたようです(昔の小児科医はこのような根拠の無い無責任なことを平気で言っていたことに驚かされます!!)。このため読書にいそしみ、家にあったピアノを独学で練習していたようです。ところが20才になってもなかなか死なない、それどころか東京芸大作曲科に入学。卒業後、11個の交響曲や数々の協奏曲など多くの前衛的な現代音楽を作曲されています。これは幼少期に型にはまらず自由に独学で勉強されていたことが基礎的な力になっていると思われます。

昔から既存の思想を覆すような新しい学説などを打ち立てた様々な「天才」たちは、幼少期からいわゆる「優等生」ではなかったようです。(2023.12.6)