国際学会

 先日、大阪で国際学会があり久しぶりに出席しました。

 2020年からのコロナ禍のためこの3年間多くの学会はWEB会議となっていました。国内学会はまだ良いのですが、国際会議では時差があるためアメリカやヨーロッパなどでは昼間に開催されているのが、日本では早朝や夜間、ひどい時には深夜になることがあります。

 そういう時に英語を聞き取るのは大変で、ましてや質疑・応答など円滑に出来ようはずはありません。今回の内容は、小児外科における困難な病気の原因や新しい治療に関する話題が多く、3年間でかなり多くの進歩が感じられました。

 とりわけ新しい領域である分子生物学や再生医療を使った新たな治療法の開発などが目を引きました。学会発表においては演者がスライドを使って画像やビデオで実験の方法や結果について発表し、演者同志、或いは聴衆と討論するわけですが、発表手法によっては微妙な解釈の違いなどがあります。

 つまり発表する時は意気揚々としゃべっていても会場を離れて休憩中やレセプションの場などでFace to faceで話すと、「自信が持てない仮説」や「まだ確信的でない結果」など、微妙なニュアンスが伝わってくることがあります。

 やはり医学の進歩にはお互いに徹底的に討論し合う場が必要なのです。また同じような実験をやっていたり興味のある分野においてその権威者と親しくなってメールアドレスを交換して今後の研究に役立てることがあります。私は今回北米やヨーロッパ、イスラエルから来られていた、論文でしか名前を知らなかった数人の権威者と知り合いになりました。またカナダに留学中の日本人の若い医師から早速私宛に「非常に重要な指摘を頂きご指導いただいたことに感謝します」というメールを頂きました。こういうことがあると嬉しいですね!!

 コロナウイルス感染を広げないことは確かに重要なことですが、医学の世界では日進月歩の新たな展開があり、対面での学会は医療者や研究者にとっては極めて重要なことです。英国のチャーチル元首相は第二次世界大戦で最初英国が参戦しなかった根拠として、「目的と手段のバランスが重要である」と言っていました。また私の友人が毎年行っていた健診での内視鏡検査を昨年コロナ蔓延のために自粛したところ、この夏に食道がんが見つかり手術を受けました。幸い治癒切除が可能でしたが、毎年健診を行っていたら化学療法や手術からの回復など、もう少し楽であったかも知れません。