最初1つであった受精卵は細胞分裂を起こし(上図)、体細胞がそれぞれ決められた運命をたどって(プログラミング)色んな細胞、組織、器官に分化、発達していきます。つまり内胚葉からは肺や消化管、中胚葉からは心臓や筋肉、腎臓や赤血球、外胚葉からは皮膚、脳神経などが発生するのですが(中図)、この時最初からあるゲノムDNAの遺伝子は変更せず、後から起きる変化によって遺伝子が発現してそれぞれの細胞、組織に分化するわけです。これをエピジェネティクスといいます。ちょっと難しいですが、要するに最初受精卵が有するゲノムDNAは終生変わらないのに対し、少しだけ修飾されて(DNAのメチル化、ヒストンのアセチル化など)性質がかわっていくというものです(下図)。これによって様々な現象が理解できるようになった新しい分野です。(2022.8)