体温調節

 急に寒くなりました。山陰では季節の変わるのが早く10月末からすでにストーブを出しております。

 今回熱の産生や体温調節について考えたいと思います。寒い環境でじっとしていると「ふるえ」が起こります。つまり骨格筋が細かい周期で律動的に収縮する現象でこれにより熱が発生して体温が保持されるのです。しかし冬眠をする動物などではふるえによらない基礎代謝量を増加させる熱産生があり、特に褐色脂肪細胞がその役割を果たし人間では新生児でのみこれをもっています。肥満などで中性脂肪をため込む白色脂肪組織とは異なり、褐色脂肪細胞は両肩甲骨の間、頸部、大動脈周囲に多く、ミトコンドリアに富み、血管が豊富、交感神経支配が極めて密であり、交感神経系の興奮によりノルアドレナリンが放出され脂肪酸が代謝されて熱を産生します(図)。赤ちゃんは自由に動けないので、いわば天然ダウンベストをまとっているわけです。が、これでは十分ではなく生まれて間もない新生児に手術をした後などは保育器で体温保持を行います(図)。先日NHK、Eテレビ番組「ダーウインが来た」で「カワイイ!動物赤ちゃん大集合SP」を放映しており、西表山猫やハリネズミの親子などを見ていて、同じ遺伝子を持つとここまでフェノタイプ(姿や形)がそっくりになり、親が子を、子が親を識別する能力ができるものだと感心しました。赤ちゃんは親の庇護を受けないと到底生きていくことができず、栄養、外敵からの保護、保温などすべて親に依存し、他からの助けが必須なのです。(2021.12)

白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞

体温保持のための新生児保育器、ラジアントウオーマー